「退院日が決まり、在宅介護用ベッド・スロープ・ポータブルトイレで30万円が一気に必要」「リフトとレンタル組み合わせの初期費用が想定外に膨らんだ」——在宅介護への切り替えは、短期間で20〜50万円規模の出費 が集中するタイミングです。介護保険が使えても自己負担分や保険適用外の品目があり、給付の振込までタイムラグも発生します。
本記事では、在宅介護用品の費用構造を整理し、公的支援・親族間調整・質屋を組み合わせた即日資金確保の現実的な手順をまとめます。困窮層を含むご家庭でも使える設計を意識しました。
本記事は質屋ガイド編集部が、介護保険法・厚生労働省の公開資料および質屋営業法に基づき作成しています。実際の支給上限・適用範囲は自治体や保険者によって異なるため、地域包括支援センター・ケアマネジャーにご確認ください。
在宅介護用品で「急に」費用が発生する典型パターン
パターン1: 退院に合わせた環境整備の集中投資
病院から自宅への切り替えは、退院日までに環境を整える必要があります。
- 介護用ベッド(電動・特殊寝台)と付属マットレス
- 床ずれ防止用具・体位変換器
- 玄関・廊下・浴室のスロープ・手すり
- ポータブルトイレ・尿器・便座
退院日は動かせない期日です。環境整備が間に合わないと退院延期や転院になり、医療費がさらに膨らむケースもあります。
パターン2: 介護度の急変による追加購入
要介護度が上がると、必要な用品が一気に増えます。
- 立ち上がり・移乗用のリフト、スリングシート
- 車椅子(自走式・介助式・リクライニング)
- 歩行器・歩行車・シルバーカー
- 入浴補助用具(シャワーチェア・浴槽手すり)
身体状況の変化はケアマネジャーの再アセスメントを経るため、保険適用までに 1〜2週間のタイムラグ が発生することがあります。
パターン3: 消耗品・継続購入の累積
毎月の継続支出も無視できません。
- 大人用紙おむつ・尿取りパッド・防水シーツ
- 経管栄養・とろみ調整食品
- 清拭タオル・使い捨て手袋・口腔ケア用品
- ポータブルトイレ用処理袋・消臭剤
月額1.5万〜4万円程度を継続的に必要とする家庭が多く、年間で20万〜50万円規模になります。
パターン4: 住宅改修と保険外リフォーム
介護保険の住宅改修費(上限20万円・原則1住宅1回)でカバーできない部分が出てきます。
- 浴室・トイレの全面改装
- 段差解消の大規模工事
- 廊下幅の拡張・ドアの引き戸化
- 屋外スロープ・手すり設置
介護保険の住宅改修費は「事前申請」が必須。工事着工後の申請は対象外になるため注意が必要です。
在宅介護用品の費用相場
介護用品は「購入」「介護保険のレンタル(福祉用具貸与)」「介護保険の購入補助(特定福祉用具販売)」で自己負担額が大きく変わります。
| 品目 | 制度区分 | 月額レンタル相場 | 購入相場 | 自己負担(1割の場合) |
|---|---|---|---|---|
| 介護用電動ベッド | 福祉用具貸与 | 月1,000〜1,500円 | 15万〜30万円 | 月100〜150円 |
| 床ずれ防止マットレス | 福祉用具貸与 | 月800〜1,500円 | 5万〜15万円 | 月80〜150円 |
| 車椅子(自走式) | 福祉用具貸与 | 月500〜800円 | 4万〜10万円 | 月50〜80円 |
| 歩行器・歩行車 | 福祉用具貸与 | 月300〜600円 | 2万〜6万円 | 月30〜60円 |
| 移乗リフト(据置型) | 福祉用具貸与 | 月3,000〜5,000円 | 30万〜60万円 | 月300〜500円 |
| ポータブルトイレ | 特定福祉用具販売 | — | 1.5万〜5万円 | 1,500〜5,000円 |
| 入浴補助用具 | 特定福祉用具販売 | — | 1万〜4万円 | 1,000〜4,000円 |
| シャワーチェア | 特定福祉用具販売 | — | 1万〜3万円 | 1,000〜3,000円 |
| 紙おむつ・パッド(月) | 保険外 | — | 月1.5万〜3万円 | 全額 |
| 住宅改修(手すり・段差解消) | 住宅改修費 | — | 5万〜20万円 | 5,000円〜2万円 |
特定福祉用具販売の年間支給限度額は10万円(自己負担1〜3割)。ポータブルトイレ・入浴補助用具・簡易浴槽などが対象です。

介護保険の適用範囲と適用外の境界
適用範囲(自己負担1〜3割)
要介護認定(要支援1〜要介護5)を受けている方が対象。
- 福祉用具貸与の対象13品目
- 特定福祉用具販売の対象5品目
- 住宅改修6種類(手すり・段差解消・滑り防止床材・引き戸化・洋式便器化・付帯工事)
適用外(全額自己負担)
以下は介護保険でカバーされません。
- 紙おむつ・パッド類(医療費控除や自治体助成あり)
- 経管栄養・栄養補助食品
- 介護度が軽度(要支援)でレンタル対象外の品目
- 保険外グレード品(高機能ベッド・デザイン家具型用具)
- リフォーム工事のうち介護目的を超える部分
自治体独自の紙おむつ給付・購入助成がある地域もあります。市区町村高齢福祉課に確認してください。
介護給付の振込タイミング
- 償還払い方式: 利用者がいったん全額支払い、後日9割が振り込まれる(1〜2ヶ月後)
- 受領委任払い方式: 業者が自治体から直接受け取り、利用者は1割のみ支払い
償還払いの場合、退院直後は全額の立替が必要になるため、つなぎ資金の確保が課題になります。
在宅介護用品費を確保する5つの方法
方法1: 公的支援制度の優先活用
経済的に困難な世帯がまず相談すべき制度。
- 緊急小口資金(社会福祉協議会): 上限10万円・無利子・連帯保証人不要
- 生活福祉資金貸付制度(厚生労働省): 福祉費として最大580万円・低利または無利子
- 住居確保給付金: 家賃支援との組み合わせで生活全体を立て直す
- 自治体独自の介護用品助成: 紙おむつ給付など
社会福祉協議会の窓口は地域包括支援センターと連携しているため、ケアマネジャー経由で同時相談が可能です。
方法2: 介護保険の制度活用と申請の前倒し
- 受領委任払い方式の利用(自治体に確認)
- 高額介護サービス費の限度額認定証
- 高額医療・高額介護合算療養費
- 特定入所者介護サービス費(食費・居住費の補足給付)
入院中からケアマネジャーと連携して退院日に向けた申請を進めるのが理想です。
方法3: 親本人の資産・保険の活用
- 親の年金・預貯金からの引き出し(本人合意・委任状)
- 介護保険・医療保険・がん保険からの給付金
- 親の生命保険のリビング・ニーズ特約
- 個人年金の一時金受取
民間介護保険の請求は2週間〜1ヶ月かかります。退院日に間に合わないケースもあります。
方法4: 親族間の立替・援助
- 兄弟姉妹・配偶者・他親族による分担
- 即日対応が可能、金利負担なし
- 年110万円超の援助は贈与税課税対象(扶養義務範囲の介護費は対象外)
- 後日の相続調整に備え覚書・記録を残す
方法5: 質屋(短期つなぎ資金として)
- スピード: 即日(30分〜1時間)
- 金利: 月利3〜6%(中額融資の相場)
- 信用情報: 一切影響なし
- 審査: 収入・勤務先を問わない
介護給付の振込までの2ヶ月 をつなぐ手段として現実的です。

即日資金調達手段の比較
| 手段 | スピード | 金利 | 信用情報 | 上限 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|---|
| 緊急小口資金 | 1〜2週間 | 無利子 | 影響なし | 10万円 | 生活困窮の世帯 |
| 生活福祉資金(福祉費) | 1〜2ヶ月 | 無利子〜低利 | 影響なし | 580万円 | 中長期の介護費 |
| 介護保険制度 | 申請後1〜2ヶ月 | 0 | 影響なし | 制度上限 | 退院前から準備可能 |
| 親本人資産 | 即日〜数日 | 0 | 影響なし | 親の資産による | 親に判断能力あり |
| 親族間立替 | 即日〜数日 | 0 | 影響なし | 個別合意 | 兄弟姉妹で分担可能 |
| 質屋 | 即日 | 月3〜6% | 影響なし | 査定額次第 | 退院日のつなぎ資金 |
ケーススタディ
実際の家族構成・要介護度・所有資産を仮定したシミュレーションです。金額は質屋営業法および中額融資の実務相場に基づきます。
ケース1: 退院に合わせた環境整備30万円のつなぎ
50代会社員、住宅ローン返済中、母(要介護3)の在宅介護に切り替えるケース。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 退院日まで2週間、介護用ベッド・スロープ・ポータブルトイレで30万円必要 |
| 公的支援 | 限度額認定証取得済み、介護保険の受領委任払いは時間切れ |
| 預ける品物 | 自分の腕時計(市場価値 約60万円) |
| 借入額 | 30万円 |
| 月利 | 4%(中〜高額融資の相場) |
| 借入期間 | 2ヶ月(介護給付の還付で返済) |
| 利息合計 | 約24,000円 |
2ヶ月の利息は約2.4万円。住宅ローンを温存しつつ退院日に間に合わせる設計が可能です。
ケース2: リフト・住宅改修で50万円の集中投資
40代パート勤務、父(要介護4)の在宅介護を兄弟2人で分担するケース。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 移乗リフト・浴室改装で50万円、住宅改修費20万円申請中 |
| 公的支援 | 住宅改修費20万円申請済み、振込は2ヶ月後 |
| 預ける品物 | ジュエリー+ブランドバッグ(市場価値合計 約100万円) |
| 借入額 | 50万円 |
| 月利 | 3%(高額融資の相場) |
| 借入期間 | 2ヶ月(住宅改修費+兄弟按分で精算) |
| 利息合計 | 30,000円 |
2ヶ月の利息は3万円。兄弟で按分する場合も覚書を残せば後の相続調整もスムーズです。
ケース3: 困窮層世帯での10万円調達
60代年金生活、配偶者(要介護2)の在宅介護で紙おむつ・歩行器の継続購入が負担になっているケース。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 紙おむつ・ポータブルトイレ・歩行器で10万円必要 |
| 公的支援 | 緊急小口資金10万円を社会福祉協議会で申請中(振込まで2週間) |
| 預ける品物 | 結婚指輪・形見の貴金属(市場価値 約30万円) |
| 借入額 | 10万円 |
| 月利 | 5%(少額融資の相場) |
| 借入期間 | 2週間(緊急小口資金の振込で返済) |
| 利息合計 | 約2,500円 |
2週間の利息は約2,500円。公的支援の振込までを質屋でしのぐ設計が現実的です。困窮層の方は 緊急小口資金・生活福祉資金貸付制度を最優先 で並行申請してください。
なぜ在宅介護費の短期つなぎに質屋が有力なのか
理由1: 子世代の信用情報を傷つけない
質屋は質屋営業法の管轄で、貸金業法の適用外。CIC・JICC・KSCの3信用情報機関への登録は 一切ありません。
- 住宅ローン返済中・借換え検討中でも審査に影響しない
- 自動車ローン・教育ローンの審査にも影響なし
- 介護費の負担で子世代の長期家計を消耗させない
親の介護で自分の信用力を消耗させない 設計が、子世代の生活基盤を守ります。
理由2: 介護給付の振込タイムラグを埋める
償還払い方式の介護給付は、申請から振込まで 1〜2ヶ月 が標準。月利4%の30万円借入で2ヶ月の利息は約2.4万円、還付額に対して低い負担で済みます。
理由3: 退院日という「動かせない期日」に間に合う
介護用品は退院日までに揃えないと退院延期や転院になり、医療費がさらに膨らみます。質屋は 即日対応 で、この期日リスクを回避する数少ない手段です。
理由4: 親に金銭的な負担感を与えない
親の口座から引き出す場合、親本人に「迷惑をかけた」という心理的負担がかかります。子世代の品物で短期つなぎする方が、家族関係への影響を最小化できる選択肢です。
詳しい仕組みは 質屋が初めての人向け完全ガイド を参照してください。
在宅介護費で質屋を使う際の注意点
注意1: 公的支援制度を必ず先に確認
緊急小口資金・生活福祉資金貸付制度・介護保険制度は確実に申請してください。社会福祉協議会・地域包括支援センター・市区町村高齢福祉課で相談可能です。
注意2: 短期返済前提で利用する
質屋は短期借入なら金額負担が小さく収まります。介護給付の振込・親族精算・親口座引き出し のいずれかで返済原資が見えている範囲に絞ってください。
注意3: 親族間の立替記録を残す
兄弟姉妹で按分する場合、相続時の調整に備えて 覚書・振込記録・領収書 を必ず残してください。
注意4: 親の意思を尊重する
判断能力のあるうちは、親の年金・預金・保険を本人合意の上で活用するのが基本です。子世代が独断で資産を動かすことは避けてください。
注意5: 介護用品の購入は事前にケアマネジャーに相談
介護保険の対象品目・受領委任払い・住宅改修費の事前申請は、ケアマネジャー経由で進めると確実です。自己判断で購入すると保険適用外になることがあります。
詳細は 親の介護費・医療費が急に必要になった時の5つの方法 や 介護で急に生活資金が足りなくなった時の対処法 も参考になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護保険でレンタルできる用品は購入と比べてどちらが得ですか?
長期利用が見込まれる場合はレンタルが圧倒的に有利です。電動ベッドは購入15万〜30万円に対しレンタル月1,000〜1,500円(自己負担100〜150円)。1〜2年使ってもレンタルの方が安いケースが多いです。短期間(1ヶ月未満)の利用であれば購入の方が手間が少ない場合もあります。
Q2. 要支援の場合でも介護用品はレンタルできますか?
要支援1・2はレンタル対象品目が限定されます(手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえなど)。電動ベッド・車椅子は要介護2以上が原則ですが、医師の意見書で例外的に認められるケースもあります。ケアマネジャーに相談してください。
Q3. 紙おむつの購入費は介護保険で還付されますか?
介護保険の対象外です。ただし自治体独自の紙おむつ給付・購入助成がある地域があります。市区町村高齢福祉課に確認してください。寝たきり等の要件で月3,000〜6,000円程度の助成が出るケースが多いです。また、医師が必要と認めた紙おむつ購入費は医療費控除の対象になります。
Q4. 住宅改修費の事前申請を忘れて工事してしまいました。後から申請できますか?
原則できません。介護保険の住宅改修費は事前申請が前提条件です。やむを得ない事情がある場合は自治体に相談してください。一方、自治体独自のリフォーム助成や障害者総合支援法の住宅改修助成が使えるケースもあります。
Q5. 介護用品の購入費は確定申告で控除できますか?
医師の指示書がある特定の介護用品(紙おむつ証明書による紙おむつ等)は医療費控除の対象になります。介護保険の自己負担分のうち、訪問看護・通所介護など医療系サービスの一部も対象です。詳細は税務署または税理士に確認してください。
Q6. 自分の住宅ローン返済中でも質屋を使えますか?
問題なく使えます。質屋は信用情報に登録されないため、住宅ローン返済中・借換え検討中でも審査に影響しません。住宅ローンを温存しながら親の介護用品費を確保できる数少ない選択肢です。
Q7. 月利3〜6%は高くないですか?
短期利用なら金額負担は小さく収まります。30万円・2ヶ月で利息は約2.4万円、10万円・2週間で約2,500円。介護給付の還付額(数十万円規模)に対して十分低い負担です。長期化が見込まれる場合は、生活福祉資金貸付制度(無利子〜低利)への切り替えを検討してください。
Q8. 介護用品を選ぶ際、最初に相談すべき窓口はどこですか?
ケアマネジャー(要介護認定後)または地域包括支援センター(要介護認定前)です。同センターは社会福祉協議会・市区町村高齢福祉課と連携しているため、介護保険・公的支援・住宅改修の申請を一括で進められます。介護用品の専門業者(福祉用具貸与事業者)もケアマネジャー経由で紹介してもらえます。
Q9. 緊急小口資金と質屋を併用しても問題ありませんか?
問題ありません。緊急小口資金は無利子で上限10万円ですが、振込まで1〜2週間かかります。退院日や施設振込日に間に合わない場合は、質屋で即日つなぎ→緊急小口資金の振込で返済という流れが現実的です。社会福祉協議会には併用予定を伝えておくとスムーズです。
Q10. 介護施設への入所が決まった場合、購入した在宅介護用品はどうなりますか?
施設入所が決まると、購入した特定福祉用具販売の品目(ポータブルトイレ等)は不要になることがあります。レンタル品目は契約解除で返却するだけです。施設入所一時金が別途必要になるケースは 介護施設の入居一時金を準備する5つの方法 を参照してください。
まとめ
在宅介護用品の費用を確保する選択肢は5つあります。
- 公的支援制度: 緊急小口資金・生活福祉資金貸付制度を最優先で相談
- 介護保険制度: 福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修費の事前申請
- 親本人の資産: 年金・預金・保険・給付金の活用(本人合意必須)
- 親族間立替: 兄弟姉妹で按分、記録を残す
- 質屋: 即日対応・信用情報無影響、退院日のつなぎ資金として有力
困窮している世帯は公的支援を最優先で、退院日や介護給付の振込タイムラグなど時間制約が明確な短期つなぎは質屋が現実的な選択肢になります。月利3〜6%でも、2週間〜2ヶ月の利用なら利息は数千〜数万円台に収まります。
実際に質屋を探すには エリアから質屋を探す からお近くの店舗を確認してください。介護費全体の設計は 親の介護費・医療費が急に必要になった時の5つの方法、介護で急に生活資金が足りなくなった時の対処法、介護施設の入居一時金を準備する5つの方法 も参考になります。
最終更新日: 2026年5月1日



