「プラチナのリングと金のネックレス、どちらを先に質入れすべきか」「金相場が史上最高値圏のいま、プラチナは温存しても良いのか」——プラチナと金は同じ貴金属でも、市場の動き方・産業需要・流動性が大きく異なります。判断を誤ると、値上がり益を取り逃したり、不要なコストを負担することになります。

本記事では、プラチナと金の市場特性の違いを整理し、質入れ・売却どちらが有利かをモデル別に判断するための軸を解説します。

本記事は質屋ガイド編集部が、貴金属市場の動向と質屋営業法に基づき作成しています。具体的な金利・査定額は店舗によって異なるため、利用前に各店舗にお問い合わせください。

プラチナと金、市場特性の根本的な違い

金は「有事の安全資産」

金は数千年にわたり通貨・価値保存の手段として使われてきました。中央銀行が外貨準備として保有し、地政学リスク・インフレ局面では資金が流入する「有事の金」と呼ばれる資産です。

  • 世界の金需要のうち投資・宝飾用途が大半
  • 中央銀行の買い入れが価格の下支え
  • 金利低下・通貨不安・地政学リスクで上昇しやすい
  • 2026年4月時点で純金1g=12,000〜13,000円台と史上最高値圏

プラチナは「産業需要連動の循環資産」

プラチナは年間生産量が金の20分の1以下と希少ですが、需要構造が異なります。自動車触媒・水素燃料電池・化学触媒など産業用途が需要の半分以上を占め、景気変動に敏感です。

  • 自動車触媒(ガソリン車)需要に左右される
  • EV化の進展で長期需要には不透明感
  • 一方で水素燃料電池・グリーン水素製造で新規需要
  • 2026年4月時点で純プラチナ1g=5,000〜5,500円程度

金とプラチナの価格関係

歴史的にはプラチナが金より高値で推移していましたが、2015年以降は逆転し、金が大きくリードしています。

時期金1gプラチナ1gプラチナ/金比率
2008年(リーマン前)約3,000円約7,000円約2.3倍(プラチナ高)
2015年約4,500円約4,500円約1.0倍(同水準)
2020年約7,000円約3,500円約0.5倍
2026年4月約12,500円約5,300円約0.42倍

金がプラチナの2倍以上の単価で推移 している現状は、質入れ・売却判断に直接影響します。

プラチナと金の特性比較
プラチナと金の特性比較

質入れ・売却で見るプラチナと金の比較

査定額・流動性の違い

質屋でも買取店でも、金とプラチナでは扱いが異なります。

項目プラチナ
1gあたり単価(純度100%)約12,500円約5,300円
流動性非常に高い中〜高
価格変動の方向性長期で右肩上がり傾向産業需要で循環
質入れ取扱店舗ほぼ全店多くの店舗で対応
鑑定書なしの減額幅5〜15%10〜20%
月利相場(30万円〜)1〜2%1〜3%

なぜ流動性で金が有利なのか

質屋は預かった品物を最終的に流質・売却して回収するため、再販性が査定額に直結します。

  • 金は世界中で買い手が見つかる
  • 金地金・金貨は規格化されており取引が容易
  • プラチナは買取業者・産業ユーザーが限定される
  • プラチナの査定減額率は金より大きい傾向

重さあたりの借入額シミュレーション

同じ10gの貴金属でも、借入可能額は大きく異なります。

品目重さ査定額借入額(80%)
K24金地金10g12.5万円10万円
K18ネックレス10g9.4万円7.5万円
Pt1000プラチナ地金10g5.3万円4.2万円
Pt900プラチナリング10g4.8万円3.8万円

同じ重さでも金がプラチナの2倍以上の借入額 になります。複数品目を持つ場合、まず売却・質入れの「順番」を意識する判断が必要です。

モデル別 プラチナと金の質入れ相場

金製品の質入れ相場(2026年4月時点)

純金1g=12,500円換算。

品目重さ査定額借入額(80%)
田中貴金属K24地金100g125万円100万円
K24金貨(メイプルリーフ1oz)31.1g39万円31万円
K22金貨(ソブリン金貨)8g8.8万円7万円
K18ネックレス30g28万円22万円
K18指輪8g7.5万円6万円
K10ピアス5g2.6万円2万円

プラチナ製品の質入れ相場(2026年4月時点)

純プラチナ1g=5,300円換算。

品目重さ査定額借入額(80%)
Pt1000プラチナ地金100g53万円42万円
プラチナ金貨(カナダメイプルリーフ1oz)31.1g16.5万円13万円
Pt900プラチナリング5g2.4万円1.9万円
Pt900ネックレス15g7.2万円5.7万円
Pt900結婚指輪(ペア)10g(合計)4.8万円3.8万円
Pt850チェーン30g13.5万円10.8万円

コンビ製品(金+プラチナ)の扱い

K18×Pt900のコンビリングなど、2素材で構成される製品もあります。

  • 査定は素材ごとに重さを按分して計算
  • 鑑定書がないと配分判定に時間がかかる
  • 一部の店舗では「主素材+減額」の概算査定
  • 厳密な査定を求めるなら鑑定書の準備を推奨

金とプラチナの相対価格推移イメージ
金とプラチナの相対価格推移イメージ

どちらを先に売る・質入れすべきかの判断軸

判断軸1: 値上がり期待値の差

「いまの相場水準で、今後さらに上がる余地があるか」を見ます。

  • 金は史上最高値圏で、長期トレンドは上向き
  • プラチナは2008年高値の半額以下で、循環的回復余地はあるが時期は不透明
  • 短中期で値上がり益を狙うなら金を保有、プラチナを先に放出が一つの定石

判断軸2: 流動性と現金化スピード

急ぎの資金需要では、査定が早く・店舗が多い品目が有利です。

  • 金地金・金貨はほぼ全店で即日査定
  • プラチナ地金は対応店舗が金より少ない
  • ジュエリーは素材判定に時間がかかる場合あり

判断軸3: 感情的価値・思い出

結婚指輪・記念ジュエリーは流質リスクが心理的に重い品物です。

  • プラチナの結婚指輪は質入れ対象から外す
  • 投資用の金地金・金貨を優先して活用
  • ジュエリーは買取より質入れで「取り戻せる余地」を残す

判断軸4: 短期コスト vs 値上がり期待

質屋の月利と将来の値上がり期待値を比較します。

想定月利期待値上がり率(年)判断
金地金100万円借入1%8〜10%質入れ有利
金ネックレス20万円借入3%8〜10%短期なら質入れ
プラチナ地金30万円借入2%0〜5%ケース次第
プラチナリング5万円借入5%0〜5%売却検討

月利×借入期間が値上がり期待値を上回るなら売却、下回るなら質入れ が判断の基本式です。

ケーススタディ3つ

ケース1: 金とプラチナのジュエリーを併保有、20万円必要

40代女性、子どもの進学準備で20万円が必要。手元には独身時代のK18ネックレス(20g・査定19万円)とPt900リング(5g・査定2.4万円)。

選択肢受取額コストリスク
K18ネックレスを質入れ借入15万円+プラチナ売却2.4万円=約17.4万円月利3%×2ヶ月=9,000円ネックレス流質
両方売却19万+2.4万=21.4万円0値上がり益放棄
K18売却・Pt質入れ売却19万+借入1.9万=20.9万円月利5%×2ヶ月=1,900円プラチナ流質

金が史上最高値圏なのでK18売却を優先、プラチナは質入れで取り戻し可能性を残す 判断が合理的です。

ケース2: 金地金100gとプラチナ地金50g、法人税200万円のつなぎ

60代経営者、決算後の法人税納付で200万円が3週間後に必要。手元に田中貴金属K24地金100g(査定125万円)とPt1000地金50g(査定26.5万円)。

選択肢内訳利息(3週間)値上がり機会損失
両方を質入れ借入100万+21万=121万約20,000円なし
プラチナ売却+金質入れ売却26万+借入100万=126万約10,000円プラチナ分のみ
金売却+プラチナ質入れ売却125万+借入21万=146万約3,000円金分の値上がり益放棄

短期つなぎなら金を質入れで温存、プラチナを売却して値上がり期待の薄い資産を現金化 が長期リターンに資します。

ケース3: 相続したプラチナチェーンと金貨、相続税の納付

50代男性、亡父から相続したPt850チェーン200g(査定106万円)とウィーン金貨5枚(1ozx5、査定200万円)、相続税150万円が10ヶ月後。

選択肢受取総額コスト値上がり益
金貨売却・プラチナ売却306万円0全額放棄
金貨を質入れ・プラチナ売却借入160万+売却106万=266万月利1%×10ヶ月=16万金分は保有
金貨を質入れ150万のみ150万月利1%×10ヶ月=15万金分は保有

相続税納付額に応じた最小借入で温存 が値上がり益とコストのバランスが取れます。プラチナ売却は値上がり期待の薄さを反映した判断です。

長期保有戦略 ― プラチナと金をどう持つか

戦略1: 「金を長期、プラチナを循環」で運用

長期保有資産として金を中心に、プラチナはサイクル投資として位置づけます。

  • 金: 5年以上の長期保有を想定
  • プラチナ: 産業需要回復時の売却益を狙う3〜5年スパン
  • 短期資金需要では先にプラチナを動かす

戦略2: 値上がり中の金を「借りて取り戻す」

金相場が右肩上がりの局面では、売却するより質入れで保有を続ける方が長期的に有利。

  • 100g地金で50万円借入→2ヶ月で返済(月利1%=1万円)
  • 同期間に金相場が3%上昇すれば地金の評価額は3.75万円増加
  • 借入コストを上回る値上がり益が見込めれば質入れが優位

戦略3: ジュエリーは「素材化」して評価

加工費が査定対象外のため、ジュエリーは素材としての価値だけで判断します。

  • K18ジュエリーの査定は重さ×0.75×当日金相場 が目安
  • 結婚指輪・誕生日プレゼント等の感情価値は別カウント
  • 質入れ対象は「思い入れの薄い品物」に限定

戦略4: 金貨・地金は鑑定書を保管

鑑定書付きと未付きで査定額に5〜20%の差が出ます。

  • 田中貴金属・三菱マテリアル等の鑑定書を保管
  • 金貨は専用ケース・冊子も一緒に保管
  • 紛失した場合でも刻印・試金石で査定可能

詳しくは 金・プラチナを質入れする前に知るべき5つのこと を参照してください。

プラチナと金の質入れで注意すること

注意1: 当日相場の変動

金もプラチナも日々相場が変わります。週初・月初の相場で借入額が決まる例が多いため、急ぎでなければ複数日で査定を取る選択肢もあります。

注意2: プラチナの査定店舗の偏り

プラチナを取り扱う質屋は金より少ない傾向です。事前に電話で取扱可否を確認してください。

注意3: 譲渡所得税(売却時)

金・プラチナの売却益は譲渡所得の対象(年間50万円超)。質入れは譲渡ではないため譲渡所得は発生しません

注意4: 偽造品・メッキ品

K18メッキ・Pt900メッキ等の偽造品は受け付けられません。試金石・比重測定で判定されます。

注意5: 流質リスクと心理的負担

返済不能で品物の所有権が質屋に移ることを「質流れ」と呼びます。法律上は取り立てが発生しないため安全装置として機能しますが、感情価値の高い品物では心理的負担が大きいため避けましょう。

質屋利用の流れ

ステップ1: 事前確認

  • 取扱可否・概算査定額を電話で確認(純度・重さを伝える)
  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)を準備
  • 品物・付属品(鑑定書・購入証明書・金貨ケース)を持参

ステップ2: 査定と借入額の合意

  • 店頭で純度・重さの確認、当日相場での査定
  • 月利・流質期限・延長条件の説明
  • 借入額の合意

ステップ3: 現金受け取り

  • 質札の発行
  • 現金を即日受け取り(30分〜1時間)

ステップ4: 期限内の返済と受け戻し

  • 元金+利息を持参
  • 質札と引き換えに品物を受け戻し

詳しい流れは 質屋が初めての人向け完全ガイド を参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. プラチナと金、まずどちらを質入れすべきですか?

短中期で値上がり余地が大きい金を温存し、プラチナを先に動かす判断が合理的なケースが多くあります。プラチナは産業需要に左右されるため、現状のような循環下落局面では機会損失が小さい傾向です。ただし結婚指輪のように感情価値が高い品物は対象から外してください。

Q2. プラチナの相場はなぜ金より低いのですか?

産業需要の縮小(ガソリン車向け触媒の減少)と投資需要の伸び悩みが要因です。金は中央銀行買いと有事需要で恒常的に資金が流入する一方、プラチナは産業景気に振れます。長期では水素経済での需要回復シナリオもありますが、時期は不透明です。

Q3. K18のジュエリーとPt900のジュエリー、同じ重さならどちらが借入額が大きい?

K18の方が借入額が大きい です。K18は金75%、Pt900はプラチナ90%ですが、純金単価がプラチナの2倍以上のため、純度の差を加味してもK18が有利になります。

Q4. プラチナ製品でも質屋で月利1%の融資は可能ですか?

借入額が30万円〜と大きく、地金や鑑定書付き製品であれば可能性があります。ジュエリー単体では月利2〜5%が一般的で、品物の流動性が低い場合はやや高めの月利になる傾向です。

Q5. 金相場が下がっている時にプラチナを質入れすべき?

短期借入なら金相場下落の影響は限定的です。2〜3ヶ月以内なら金・プラチナとも変動幅は数%程度 で、利息より大きな影響は出ないケースが多くあります。長期保有戦略では値下がり時の流質リスクが高まる点に注意。

Q6. 鑑定書がないプラチナ製品は質入れできますか?

可能です。刻印(Pt1000・Pt900・Pt850)があれば試金石・比重測定で純度判定できます。査定額は鑑定書付きより10〜15%下がる 傾向ですが、利用は可能です。

Q7. プラチナの結婚指輪を質入れしたいのですが?

技術的には可能ですが推奨しません。流質になった場合の心理的影響が大きいため、感情価値の薄い金地金・プラチナ地金・投資用金貨に限定するのが鉄則です。どうしても資金が必要な場合は、まず他の品物を検討してください。

Q8. 金貨とプラチナ金貨ではどちらが査定が安定?

金貨の方が安定 します。メイプルリーフ・ウィーン金貨は世界的に流通しており、ほぼ全ての質屋で取り扱い可能。プラチナ金貨は流通量が少なく、取扱店舗が限定されるため査定が店舗差で振れやすい傾向があります。

Q9. プラチナと金、どちらが偽造品に注意すべき?

両方とも偽造品リスクはありますが、流通量の多さから 金の方が偽造品の事例が多い です。ただしプラチナも産業用途のメッキ製品が出回っており、刻印・比重測定での確認が重要です。

Q10. プラチナと金を併せて質入れする場合、合算でお得になる?

借入額が大きくなることで月利が下がる可能性があります。30万円・50万円・100万円といった金額別の月利テーブルを設定する店舗も多く、合算した方が金利が下がるケースがあります。事前に店舗で確認してください。詳しくは 金の追加融資の仕組み売却 vs 質入れの金額シミュレーション も参考になります。

まとめ

プラチナと金の判断軸を整理すると、

  • 金は有事の安全資産、プラチナは産業循環資産 という根本的な違いを認識する
  • 同じ重さなら金の借入額が2倍以上、流動性も金が上回る
  • 短中期で値上がり期待が強い金を温存し、プラチナを先に売却・質入れ が長期リターンに資する
  • 感情価値の高い結婚指輪・記念ジュエリーは対象から外す
  • 質入れは月利1〜3%、譲渡所得も発生しない 一方で売却は値上がり益を放棄する

金相場が史上最高値圏の今 は、保有資産のうちプラチナを先に動かす判断が一般的に合理的です。短期資金需要なら質入れ、長期保有意思がない品物は売却、と用途で使い分けてください。

関連する選択肢は、金・プラチナを質入れする前に知るべき5つのこと売却 vs 質入れの金額シミュレーション金の追加融資の仕組み質屋が初めての人向け完全ガイド も参考になります。実際に質屋を探すには エリアから質屋を探す からお近くの店舗を確認してください。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務・投資相談を提供するものではありません。金・プラチナの市場相場は2026年4月時点の目安であり、日々変動します。実際の査定額・借入条件は店舗・市場相場・品物の状態によって異なります。

最終更新日: 2026年5月1日