入籍直前に控える結納や顔合わせ食事会は、両家の関係性が初めて公の形になる大切な場です。一方で、結納金・婚約指輪・食事代・手土産・交通宿泊が一気に重なり、想定外の総額に直面するケースが少なくありません。「来月の顔合わせまでに50万円が足りない」「結納金100万円は親に頼みづらい」という相談は、結婚準備の現場で頻繁に発生します。

本記事では、結納・顔合わせの費用相場を地域や慣習別に整理し、不足分を信用情報を傷つけずに短期で補う実務手順を解説します。

本記事は質屋ガイド編集部が、両家の慣習・冠婚葬祭マナー・質屋営業法に基づき作成しています。地域・関係性により金額は変動するため、具体額は両家での合意に応じて調整してください。

結納・顔合わせの全体像と費用が膨らむ理由

結納と顔合わせの違い

近年は格式ばった結納を省略し、両家顔合わせ食事会のみで済ませるカップルが増えています。両者の違いを整理します。

項目結納顔合わせ食事会
目的婚約の正式な取り交わし両家の親睦
形式結納金・結納品の儀礼食事中心のカジュアル
場所料亭・ホテルの個室レストラン・料亭
時間2〜3時間1.5〜2.5時間
結納金30〜100万円なし(または記念品)
全体予算50〜150万円5〜15万円

両家の希望にズレがある場合は、新郎新婦が橋渡し役として早めに調整することが鍵になります。

なぜ総額が想定を超えるのか

結婚準備の費用は、結婚式・新生活・新婚旅行に意識が集中しがちです。結納・顔合わせの段階では「数十万円程度」と見積もる人が多いのですが、付随費用が積み重なって膨らむ傾向があります。

  • 結納金本体に加えて結納品・記念品の購入
  • 婚約指輪が同時期に必要になる
  • 結納返しを別途用意するケース
  • 両家の交通費・宿泊費の負担
  • 手土産・引出物の準備
  • 当日の着付け・美容・衣装

これらが重なると、結納形式で 80〜180万円、顔合わせ形式でも 15〜40万円 の出費になります。

結納・顔合わせ費用の内訳

結納形式の場合

正式結納または略式結納を行う場合の代表的な内訳です。

項目相場備考
結納金30〜100万円月収の3倍が目安とされる
結納品(9品・7品・5品セット)3〜10万円略式は記念品で代替可
婚約指輪30〜50万円月収の1〜3倍
結納返し(半返し or 1割返し)結納金の10〜50%地域による
会場代(料亭・ホテル個室)3〜10万円食事代と別
食事代(両家6〜8名想定)5〜10万円1人1〜1.5万円
交通費・宿泊費(遠方)2〜10万円親世代の手配
手土産(両家分)5,000〜2万円各5,000円が目安
着付け・美容2〜5万円母親分含む

合計:略式結納で 50〜80万円、正式結納で 100〜180万円 が現実的な水準です。

結納・顔合わせの費用内訳
結納・顔合わせの費用内訳

顔合わせ食事会の場合

近年主流の食事会形式の内訳です。

項目相場
食事代(両家6〜8名)5〜10万円
個室代・サービス料5,000〜2万円
婚約記念品(指輪・時計など)別途30〜50万円
手土産5,000〜2万円
交通費・宿泊費(遠方)2〜10万円
着付け・美容(任意)1〜3万円

合計:食事会本体は 5〜15万円、婚約記念品を含めると 35〜65万円 に達します。

結納金の負担構造

結納金の用意は 新郎側の家 が担うのが伝統ですが、近年は新郎本人が負担するケースも増えています。

  • 親が全額負担:30〜40%
  • 親と新郎の折半:30%
  • 新郎が全額負担:30%

親に頼りにくい背景として、親世代の年金生活化、共働きで親に頼らない価値観の浸透などがあります。新郎本人の手取りで月収3倍を即時用意するのは、20代後半〜30代前半では現実的に難しい局面が多くあります。

地域別・慣習別の相場比較

地域差の概要

結納金は地域の慣習で目安が大きく変わります。

地域結納金相場結納返し特徴
関東(東京・神奈川等)30〜80万円半返し半返し慣習が強い
関西(大阪・京都等)50〜100万円1割返し結納金が高め・返しは少なめ
東海(愛知・岐阜等)100万円〜1割返し「名古屋の結納」と呼ばれる豪華さ
北海道30〜50万円結納返しなし簡略化が進む
九州・沖縄30〜80万円半返し〜なし地域内のばらつきが大きい

両家の出身地が異なる場合は、どちらの慣習に寄せるかを早めに合意する必要があります。

略式結納と正式結納の費用差

形式結納品仲人会場合計目安
正式結納9品セットあり料亭の格式高い個室130〜180万円
略式結納5〜7品 or 記念品なしホテル個室60〜100万円
顔合わせ記念品のみなしレストラン5〜15万円

近年は 略式結納 または 顔合わせ食事会 を選ぶカップルが7割以上とされ、正式結納は減少傾向にあります。

即日で資金を確保する手段の比較

不足分が10〜100万円規模で発生した時、現実的な選択肢を整理します。

手段スピード上限コスト信用情報
親族借入即日〜数日関係次第低(無利子も)影響なし
不要品売却即日〜数週間品物次第0(売却)影響なし
質屋即日査定額の50〜70%月利1〜5%影響なし
銀行ブライダルローン1〜3週間数百万円年利4〜10%登録される
カードローン即日数十万〜年利15〜18%登録される
クレジットカードリボ即日限度額内実質年利15%登録される

資金調達の選択肢
資金調達の選択肢

親族借入の現実

結納金の用意で最も使われるのは親族借入です。

  • 新郎の父方の祖父母から100万円を一時借入
  • 兄姉から30万円を一時借入し、新婚旅行後に返済
  • 「結婚祝い」として贈与扱いになるケースもあり

贈与税の基礎控除(年110万円)の範囲内であれば、親族からの援助は税負担なく受け取れます。借入か贈与かは事前に明確にしておくと、後の関係性トラブルを避けられます。

質屋を活用する場面

親族に頼りにくい・相手側に「うちの息子が借りた」と知られたくないケースで、質屋は有力な選択肢になります。

  • 独身時代に購入した時計・バッグ・貴金属を担保
  • 査定額の50〜70%を即日借入
  • 結婚式後のご祝儀収入で返済し、品物を取り戻す
  • 信用情報に一切登録されない

ロレックス・カルティエ・エルメス・シャネルなどの定番ブランドは査定が安定しています。結婚準備期に信用情報を傷つけないことは、新居の住宅ローンや車のローン審査に直結する重要事項です。

ブライダルローンとの違い

銀行・信販系のブライダルローンは「結婚資金」目的の専用ローンで、年利4〜10%程度と相対的に低金利です。一方で次の制約があります。

  • 申込から実行まで1〜3週間かかる
  • 審査に勤務先・年収の証明が必要
  • 信用情報に登録される
  • 完済まで5年以内など返済期間が固定

当日や翌日の急な不足には間に合わないケースが多く、短期つなぎは別の手段が必要になります。

ケーススタディ3つ

ケース1:略式結納で結納金80万円が足りない

状況

  • 新郎は29歳・社会人5年目、年収450万円・手取り月収27万円
  • 結納金80万円・結納品3万円・婚約指輪40万円・食事代10万円が必要
  • 親に頼まず本人で用意したいが、貯金は60万円
  • 結納まで2週間

選択した手段

  1. 自己資金から60万円を結納金・食事代に充当
  2. 不足の20万円をブランド時計(ロレックス、市場価値60万円)で質屋から借入
  3. 月利1.5%(高額融資の相場)、3ヶ月の返済計画
  4. 婚約指輪は結婚式後の貯金で支払い

返済

  • 借入20万円・月利1.5%・3ヶ月で利息9,000円
  • ボーナス支給後にまとめて返済し、ロレックスを取り戻し

信用情報を温存したことで、半年後に住宅ローンの仮審査に進めました。

ケース2:両家顔合わせの遠方交通費が想定オーバー

状況

  • 新婦は27歳・新郎は28歳、新婦の実家が九州、新郎の実家が東京
  • 顔合わせ会場は中間地点の大阪
  • 食事代10万円+両家4名の航空券・宿泊で合計25万円
  • 想定15万円のオーバー10万円が発生

選択した手段

  1. 自己資金で食事代10万円を確保
  2. 両家の交通宿泊費15万円のうち、新郎側分7万円を質屋でつなぎ調達
  3. 新婦側の8万円は新婦の親が負担
  4. ハイブランドバッグ(市場価値15万円)を担保に7万円を1ヶ月借入

返済

  • 借入7万円・月利4%(中額融資相場)・1ヶ月で利息2,800円
  • 翌月給与で全額返済し、バッグを取り戻し

新郎側の親に追加負担をかけずに済み、両家の関係性を良好に保てました。

ケース3:親の高齢化で結納金100万円を全額自己負担

状況

  • 新郎は34歳、結納金100万円を本人が全額用意することに
  • 関西出身で結納金100万円が地域慣習
  • 貯金は新生活費用で温存したい
  • 結納まで1ヶ月

選択した手段

  1. 独身時代に購入した複数の時計・貴金属を質屋でまとめて査定
  2. オメガ・タグホイヤー・金製アクセサリーで合計150万円の査定
  3. うち100万円を月利1%(高額融資)で借入
  4. 結婚式後のご祝儀収入+ボーナスで3ヶ月以内に返済

返済

  • 借入100万円・月利1%・3ヶ月で利息3万円
  • ご祝儀(150万円程度)から元金+利息103万円を返済
  • 預けた品物を全て取り戻し

独身時代の品物を「眠らせない」発想で、新生活の貯金を崩さずに結納を完了できました。

結婚準備期に信用情報を傷つけないことの重要性

住宅ローン審査への影響

結婚直後は新居購入を検討する時期と重なります。住宅ローン審査では返済負担率(年収の30〜35%、フラット35基準)が判定基準で、カードローンの利用履歴は 借入可能額を数百万円単位で押し下げる 要因になります。

結納金100万円のためにカードローンを使ったことが、半年後の住宅ローン審査で 借入可能額を800万円減らした という事例も報告されています。

自動車ローンと教育ローン

新婚生活では自動車購入や、将来的な教育ローンも視野に入ります。信用情報の事故情報は5年間保存されるため、結婚前後の数年間に登録された履歴は 長期にわたり審査に影響 します。

質屋が選ばれる理由

質屋は質屋営業法に基づく業態で、貸金業法の対象外です。CIC・JICC・KSCのいずれにも記録されず、利用履歴が残りません。

  • 結婚準備期の信用情報を温存できる
  • 在籍確認・収入証明が不要
  • 親族や相手側に知られない
  • 期限内(原則3ヶ月)に返済すれば品物が戻る

質屋を利用する際の注意点

流質期限の管理

質屋営業法第19条により、原則3ヶ月の流質期限を超えると品物の所有権は質屋に移転します。結婚準備の繁忙期は手続きが後回しになりがちで、期限超過のリスクがあります。

  • 質札期限を結婚式翌週など明確な日に設定
  • 返済原資(ご祝儀・ボーナス)の入金日と紐付け
  • 万一返済が遅れる場合は 利息のみ支払いで延長 を相談

査定額に影響する要素

ブランド時計・バッグ・貴金属の査定では、付属品の有無で5〜20%の差が出ます。

  • 保証書・ギャランティカード
  • 購入時の箱・袋・説明書
  • 交換用ベルト・コマ(時計)
  • 鑑定書(ジュエリー)

結婚準備で慌ただしい時期でも、付属品をひと通り揃えてから持参するのが得策です。

二人で意思決定する

結納金の調達方法は、できれば 新郎新婦で共有 することが望ましいです。一方が独断で借入手段を選ぶと、後で発覚した時の信頼関係に影響します。質屋利用も含め、調達計画は二人で話し合った上で進めることが、結婚準備期の関係性維持につながります。

困窮状況にある場合は、自治体の生活福祉資金貸付制度や社会福祉協議会の緊急小口資金など、公的支援の相談も並行してご検討ください。

質屋利用の流れ

ステップ1:事前確認

  • 取扱品目・概算査定額を電話やウェブで確認
  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)の準備
  • 担保品の付属品を揃える

ステップ2:来店・査定

  • 品物の状態確認、市場相場を加味した査定
  • 月利・期限・延長条件の説明
  • 借入額の合意

ステップ3:契約・現金受取

  • 質札の発行
  • 即日で現金を受け取り

ステップ4:期限内の返済と受け戻し

  • 元金+利息を持参し、質札と引き換えに品物を返却
  • 必要なら利息のみ支払いで期限延長

詳しい手順は 質屋が初めての人向け完全ガイド も参照してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 結納金が用意できない場合、結納そのものを省略できますか?

A. 可能です。近年は結納を省略し、両家顔合わせ食事会のみで済ませるカップルが7割以上とされます。両家の合意があれば、結納金なしでも婚約は問題なく成立します。新郎新婦が両家の意向を早めに確認し、形式を決めることが大切です。

Q2. 結納金は必ず月収の3倍ですか?

A. 「月収の3倍」は伝統的な目安ですが、絶対ではありません。30万円・50万円・80万円・100万円といった切りの良い金額を選ぶカップルも多くあります。両家の慣習や経済状況に応じて柔軟に決める例が増えています。

Q3. 婚約指輪は結納と同時に必要ですか?

A. 必須ではありません。結納時に指輪を渡す慣習もありますが、別の機会(プロポーズ時や入籍前)に渡すケースも一般的です。費用負担の分散の観点からも、時期をずらす選択は合理的です。

Q4. 結納返しはどうしても必要ですか?

A. 地域・両家の合意によります。関西では1割返し、関東では半返しが一般的ですが、近年は「結納返しなし・記念品のみ」とする例も増えています。事前に両家で形式を合意しておくことが、当日のトラブル回避につながります。

Q5. 質屋で100万円を借りる場合、どんな品物が必要ですか?

A. 査定額150〜200万円程度の品物が目安です。ロレックスのスポーツモデル、エルメスのバーキン・ケリー、金製品(100g以上)、高額ジュエリーなどが該当します。複数品目をまとめて担保にする方法もあります。

Q6. 結納金を質屋で調達することは相手側にバレますか?

A. 質屋の利用履歴は信用情報機関に登録されないため、外部から知られることはありません。本人確認は店舗内で完結し、家族や相手側への通知は一切ありません。プライバシー配慮の観点で質屋を選ぶ層も一定数います。

Q7. ブライダルローンと質屋はどう使い分ければ良いですか?

A. 大きく次の2軸で判断します。スピード が必要なら質屋(即日)、金額の大きさ が必要ならブライダルローン(数百万円)。信用情報を温存したい場合は質屋一択です。両者を併用するケースもあります。

Q8. 結納金を借金で用意するのは恥ずかしいことですか?

A. 短期で確実に返済できる原資(ボーナス・ご祝儀)があるなら、金融的には合理的な判断です。ただし長期信用記録を残すカードローンの利用は将来の住宅ローンに影響するため、信用情報を傷つけない手段(質屋・親族借入)を優先する価値があります。

Q9. 顔合わせの食事代は誰が払うのが一般的ですか?

A. 折半が最も多く(約60%)、次いで新郎側が全額負担(約25%)、新婦側が全額負担(約15%)の順とされます。事前に両家で誰が支払うかを決めておくと、当日の場が乱れません。

まとめ

結納・顔合わせの費用は、見落としがちな付随費用が積み重なって総額が膨らみます。

  • 結納形式の総額は 50〜180万円、顔合わせ食事会形式は 5〜65万円
  • 地域慣習の違いを早期に両家で合意することがトラブル回避の鍵
  • 不足分は 親族借入・不要品売却・質屋・ブライダルローン の順で検討
  • 結婚準備期の信用情報を温存することが住宅ローン審査に直結する
  • 質屋は即日対応・信用情報無影響の短期つなぎとして有力

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最終更新日: 2026年5月1日