複数社の借入を1社にまとめたい——多くの方がまずおまとめローンを検討しますが、申込時の信用情報照会で否決され、結果として履歴に申込記録だけが残るケースがあります。本記事では、信用情報を悪化させずに借入を1本化する段階的フローを、4手段の比較・3つのケーススタディ・住宅ローン審査前の進め方まで含めて整理します。
本記事は質屋ガイド編集部が、貸金業法・質屋営業法および各信用情報機関の公開情報に基づき作成しています。実際の審査基準・金利は金融機関ごとに異なるため、最終判断は各機関にご確認ください。
1本化を急ぐ前に確認したい信用情報の仕組み
借入を1本化する前提として、信用情報がどう動くかを把握しておきます。信用情報機関は3つあり、それぞれ登録情報が異なります。
| 機関 | 主な加盟先 | 登録される情報 |
|---|---|---|
| CIC | クレカ会社・信販・消費者金融 | 契約・支払状況・申込履歴 |
| JICC | 消費者金融・信販 | 契約・延滞・申込履歴 |
| KSC | 銀行・信用金庫 | 契約・延滞・官報情報 |
申込(照会)情報はCICで6ヶ月、JICCで6ヶ月、KSCで6ヶ月程度が一般的な保有期間です。短期間に複数社へ申込むと「申込ブラック」と呼ばれる状態になり、審査通過率が下がります。
多くの人がつまずく「申込ブラック」の発生経路
実際に1本化を試みた方の典型的な失敗パターンは次の流れです。
- 銀行系おまとめローンに申込 → 否決
- 別の銀行系に申込 → 否決
- 消費者金融系のおまとめに申込 → 否決
- 結果として半年間は新規借入が著しく難しい状態に陥る
この間に既存借入の延滞が発生すると、状況は一気に悪化します。延滞情報は5年間残り、住宅ローン審査にも長期的に影響します。
多重債務の整理方法で、整理全体の段階別ステップを別記事にまとめています。
借入を1本化する4つの手段【比較表】
1本化の選択肢は大きく4つに分かれます。それぞれの信用情報への影響と特徴を整理します。

| 手段 | 信用情報照会 | 登録される記録 | 金利目安 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|---|
| おまとめローン(銀行系) | あり | 申込・契約・支払 | 年4-15% | 信用情報がきれいで延滞なし |
| 銀行融資(多目的・カードローン) | あり | 申込・契約・支払 | 年2-15% | 取引銀行で実績がある |
| 質屋経由の段階的整理 | なし | 一切登録なし | 月1-9% | 保有資産があり信用情報を守りたい |
| 親族借入 | なし | 一切登録なし | 任意 | 信頼関係と返済計画が明確 |
手段A:おまとめローン
複数借入を1つに集約する専用商品。月返済額は下がりますが、返済期間が伸びると総支払額が増えるケースがあります。審査で他社借入件数・年収・延滞履歴が見られます。
手段B:銀行融資(多目的・カードローン)
取引のある銀行で多目的ローン・カードローンを契約し、それで一括返済する方法。おまとめ専用商品より金利が低い場合がありますが、用途確認や面談を求められることがあります。
手段C:質屋経由の段階的整理
保有する金・時計・ブランド品等を質入れして借入し、その資金で既存借入を一括返済する方法。質屋の借入は信用情報機関への登録対象外で、申込履歴も契約履歴も残りません。
手段D:親族借入
家族・親戚から借りて一括返済する方法。信用情報には一切影響しませんが、人間関係への配慮と返済計画の明文化が必須です。
信用情報を傷つけない借入方法でも、信用情報を守る前提での選択肢を整理しています。
段階的1本化フロー【信用情報を守る前提】
質屋を補助手段として使う場合の段階的1本化フローを、テキスト図解で示します。

【現状】
借入A(金利18%・残30万)
借入B(金利15%・残25万)
借入C(金利17%・残20万)
─────────────────
計75万円/月返済額 5.5万円
↓ ステップ1:保有資産の査定(複数店で相見積もり)
時計・金・ブランド品の合計担保価値を把握
↓ ステップ2:高金利順に質屋資金で完済
借入A → 借入C → 借入B の順で一括返済
各社で完済証明を取得
↓ ステップ3:低金利1社へ集約
信用情報がクリアな状態で銀行融資・おまとめに申込
通った1社で質屋借入を完済し、品物を受け戻し
【整理後】
銀行融資1社(金利6%)/月返済額 1.5万円
信用情報の延滞・申込ブラック発生なし
このフローの肝は、おまとめローン申込時点で他社借入件数が0件 になっていることです。借入件数が減ると審査通過率が大幅に上がります。
質屋を使った1本化の具体的な進め方
質屋経由で1本化を進める場合の実務的な手順を整理します。
ステップ1:保有資産の総額把握
自宅にある金・貴金属・時計・ブランド品をリスト化します。査定額は店舗ごとに異なるため、3店舗程度で相見積もりを取ると相場が見えます。査定だけなら無料の店舗が大半です。
ステップ2:質屋への持ち込みと借入
担保価値が確認できたら、必要額を借入します。質屋の利息(質料)は月1-9%。1ヶ月で借入50万円・月利2%なら利息1万円が目安です。
ステップ3:高金利順に既存借入を完済
利息の高い借入から優先して一括返済します。各社で「完済証明書」または明細を取得し、後の審査で提示できるようにします。
ステップ4:信用情報の自己開示で確認
CIC・JICC・KSCは本人開示制度があり、1機関1,000円程度で自分の登録情報を確認できます。完済反映を確認してから、次のステップに進みます。
ステップ5:低金利1社へ集約申込
信用情報がクリーンになった状態で、銀行融資・おまとめローンに申込。通った1社で質屋借入を完済し、品物を受け戻して整理完了です。
質屋の基本的な仕組みで利用フローを詳しく整理しています。
住宅ローン審査前の特別な注意点
住宅ローン審査を1年以内に控えている場合、1本化は特に慎重に進める必要があります。
審査で見られる返済負担率
フラット35基準では、年収400万未満で返済負担率30%以下、400万以上で35%以下 が目安。カードローン・おまとめローンの月返済額は、この負担率の計算に含まれます。
申込履歴の影響期間
おまとめローンを申込んだ場合、否決でも可決でも申込記録は6ヶ月残ります。住宅ローン審査機関は短期間の連続申込を警戒するため、整理から半年以上の空白期間を取るのが安全です。
質屋経由なら審査時点で痕跡なし
質屋の借入は信用情報に一切残らないため、住宅ローン審査時点で「過去に整理した形跡」が見えません。整理から数ヶ月の空白期間を取れない場合の選択肢として有効です。
ケーススタディ:3つの1本化事例
ケース1:カード3社90万円を質屋経由で整理(住宅購入予定)
会社員Aさん(34歳・年収520万)は、住宅購入を1年後に控えながらカード3社で計90万円のリボ残高を抱えていました。手元の時計(査定額150万)を質入れして90万を借入、3社を一括返済。1ヶ月後に手取りボーナスから91.8万円(質料月2%×1ヶ月)を支払って時計を受け戻し。信用情報には延滞・申込ブラックともに発生せず、6ヶ月後の住宅ローン仮審査を通過しました。
リボ払いの脱出方法もあわせて参考にしてください。
ケース2:消費者金融2社60万円を銀行融資へ集約
会社員Bさん(38歳・年収450万)は消費者金融2社で計60万の借入。直接おまとめ申込みは件数・属性的に厳しいと判断し、保有していた金インゴット(査定額80万)を質入れして60万を借入、2社を完済。完済反映を待って2ヶ月後に取引銀行のカードローン(年8%)を申込み、可決額60万で質屋借入を完済。最終的に月返済1.8万・金利8%の1社に集約されました。
ケース3:4社200万円を任意整理併用で整理
会社員Cさん(45歳・年収550万)は4社で計200万の借入があり、月返済が手取り40%超で完済の見通しが立たない状態。保有資産は限定的で質屋経由の全額整理は困難と判断、法テラスで弁護士に相談し任意整理を選択。利息カット・5年分割の合意で月返済が手取り18%に縮小しました。借入額が大きい場合は法的整理が現実的 な選択肢になります。
1本化で失敗しないための4つの原則
原則1:申込前に信用情報を自己開示する
CIC・JICC・KSCの3機関で自分の登録情報を確認してから動きます。延滞中の借入があれば、まず延滞解消が前提です。
原則2:高金利の借入から優先返済する
利息が高い借入を先に減らすほど、総支払額が小さくなります。金利18%の借入を残したまま金利6%の借入を先に返すのは、家計上は損失です。
原則3:完済証明を必ず取得する
一括返済後は各社で完済証明書または明細を保管。後の審査時に「他社借入0件」を裏付ける証拠になります。
原則4:1本化後の追加借入を避ける
整理後にカードを新規発行したり、リボ残高を再び増やしたりすると、また同じ状況に戻ります。整理は通過点ではなくゴール として家計改善まで含めて取り組みます。
注意点:避けるべき選択肢
闇金・違法業者
「ブラックでも借りられる」「即日100万円」を強調する違法業者は、年利数百〜数千%の違法金利で取り立ても暴力的になります。一切手を出さないことが原則です。
給与ファクタリング
「給料を担保に現金化」を謳う業者は、実質的に違法な貸金業に該当します。金融庁も注意喚起しています。
自転車操業(借入で借入を返す)
新たな借入で既存借入を返す行為は、総額が膨らむだけです。出口が見えなくなる前に、公的窓口に相談してください。
FAQ
Q1. おまとめローンに申込んで否決されると信用情報にどう残りますか?
A. 申込みの事実がCICで6ヶ月間記録されます。否決理由そのものは登録されませんが、短期間に複数社へ申込むと「申込件数の多さ」が次の審査で否決要素になります。
Q2. 質屋を使った整理は信用情報に本当に残らないのですか?
A. 残りません。質屋営業法は貸金業法とは別の法律で、信用情報機関への登録対象外です。CIC・JICC・KSCのいずれにも質屋の利用記録は登録されません。
Q3. 1本化後にカードを解約すべきですか?
A. 利用していないカードは解約を検討する価値があります。クレカの利用枠(極度額)は審査上の借入余力として見られることがあり、複数枚保有は不利に働く場合があります。ただしクレヒス維持の観点から、最も古い1枚は残すのが一般的です。
Q4. 親族借入の場合、信用情報に影響しますか?
A. 親族間の貸し借りは信用情報機関の管轄外で、一切登録されません。ただし税務上は贈与税の対象になる場合があるため、借用書の作成と利息設定(最低でも0.1%程度)が望ましいです。
Q5. 質屋経由で整理してから住宅ローン申込まで、最短どのくらい必要ですか?
A. 既存借入の完済情報がCIC・JICCに反映されるまで通常1-2ヶ月。住宅ローン審査機関は直近6ヶ月の申込履歴を重視するため、最低でも整理から3-6ヶ月の空白期間を取るのが安全です。
Q6. おまとめローンの審査に1度落ちたら、次の申込みはいつ可能ですか?
A. 申込履歴は6ヶ月で消えます。再申込みは半年以上空けるのが原則。その間に他社借入を減らす・延滞を解消する等の改善が伴うと通過率が上がります。
Q7. 質屋の質料は高くないですか?
A. 月利1-9%は年利換算で12-108%と一見高いですが、1-2ヶ月の短期利用なら絶対額は小さくなります。50万円を1ヶ月借りて月利2%なら利息1万円。一括返済の原資として一時的に使う前提なら現実的です。
Q8. 自営業・フリーランスでも1本化できますか?
A. 可能ですが、銀行系おまとめローンは収入証明(確定申告書3期分)を求められます。質屋経由の整理は収入証明不要のため、収入が不安定な状況でも進められる利点があります。
Q9. 1本化の途中で延滞が発生したらどうなりますか?
A. 延滞情報はCIC・JICC・KSCに記録され、5年程度残ります。1本化のプロセス中も既存借入の約定返済は遅延なく継続することが必須です。延滞リスクが見えた時点で公的窓口(法テラス等)に相談してください。
Q10. 借入総額が500万円を超える場合、1本化は現実的ですか?
A. 借入額が大きく月返済が手取り40%を超える場合は、おまとめや質屋経由の整理よりも 法的整理(任意整理・個人再生) が現実的なケースが多くなります。法テラスでの無料相談で個別判断を仰いでください。
まとめ:信用情報を守る1本化の3原則
借入の1本化を信用情報を傷つけずに進めるには、次の3点を押さえます。
- 申込前に自己開示で信用情報を確認し、延滞は解消してから動く
- 質屋を補助手段として使い、申込時点で他社借入件数を最小化する
- 整理後は家計改善まで含めて取り組み、再借入を避ける
質屋経由の段階的整理は、信用情報を守りながら1本化を進めたい場合の有力な補助手段です。住宅ローン審査を控えている場合や、過去におまとめ否決の経験がある場合に特に有効です。
ただし借入総額が手取り年収を超えるような状況では、法的整理が現実的な選択肢になります。判断に迷う場合は法テラス等の公的窓口を最優先で活用してください。
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最終更新日: 2026年5月1日



